Amazonでの出品は、簡単なことのように思えるかもしれませんが、実際には多くの出品者が犯してしまう典型的な失敗が存在します。
それぞれの事例について把握し、どのように対策すればよいのかを理解することで、うまく成功に導くことができるようになります。
この記事では、Amazon出品の初心者、あるいはこれから始めようと考えている方々に向けて、出品のプロセスでよく犯される失敗とその対策について深堀りしていきます。
目次
よくある失敗事例とその原因
Amazonは、巨大なマーケットプレイスであり、数多くの新しい出品者が参入しています。
その魅力とチャンスは誰にも開かれている一方で、知らず知らずのうちにありがちな失敗をおかしてしまい、自身で足を引っ張ることが少なくありません。
そこでここでは、Amazon出品でよくある失敗事例とその原因についてご紹介し、それらの失敗をどう回避し、どのように対策を立てるべきか、具体的な対策とともにお伝えしていきます。
価格設定のミス
価格は、Amazon出品における最も重要な部分の一つです。商品を売るためには、競合とのバランスや利益率など、多岐にわたる要素を考慮して設定しなければなりません。
初心者の中には、競合に勝つために商品価格を極端に低く設定することがよくみられます。
しかし、過剰な低価格は利益率を著しく下げ、ビジネスとして成立しなくなる危険性があります。さらに、安すぎる価格は品質に対して疑問を抱かれる原因にもなります。
また逆に、価格を高く設定することも問題です。消費者は価格と価値のバランスを見極めますので、価格が高すぎると商品が売れなくなる可能性があるのです。
価格は常に変動するもので、季節やトレンド、競合の動きなど、さまざまな外部要因に影響を受けます。
そのため、市場調査によって競合の価格や市場の動向なども得たうえで、適切な利益率を確保し、価格を決定しなければなりません。
商品説明・画像の不足
Amazonにおける商品説明と画像は、購買意欲を掻き立てる重要な要素になります。
これらが不足していたり、誤った情報が含まれたりしていると、消費者の信頼を損ない、販売機会を失う可能性があります。
商品説明が簡潔すぎると、消費者が必要な情報を得られず、購買に至らないことがよくあります。サイズ、材質、機能など、商品の詳細を適切に提供する必要があります。
また、画像が少ない、画質が悪い、または魅力的に見えないような状態であると、消費者は商品の実際の外見や質感を把握しにくくなります。
そのため、商品の特徴や利用方法、対象者など、消費者が気になる点を網羅するように説明文を作成し、商品の全体像や魅力を伝えるために高品質な画像を提供することが大切です。
在庫管理の不備
Amazon出品において、在庫管理に不備があると、販売機会の損失や顧客満足度の低下につながります。
需要予測は在庫管理の基盤となる作業で、過少な予測は在庫切れを引き起こし、過剰な予測は在庫余剰を招く可能性があります。
また、在庫の適切な管理ができていないと、在庫切れや過剰在庫はもちろん、商品の劣化などの問題が起きる可能性もあります。
さらに、納期管理ができていないと、いつまでも在庫切れを起こすことに繋がり、顧客の信頼を失い、再購入を阻害することになります。
そのため、売上履歴や季節性、市場トレンドなどのデータを活用して、正確な需要予測を立て、在庫の状態を常に把握し管理する必要があります。
商品の不適切なカテゴリ分け
商品を適切でないカテゴリに分けることで、検索順位が低下し、目立たなくなる恐れがあります。
間違ったカテゴリに商品を配置すると、検索の見落としにつながり、販売機会を逸するリスクが高まります。
Amazonには多数のカテゴリがありますが、これを適切に理解せずに分類すると、ターゲットとなる顧客に商品が届かない可能性があります。
Amazon出品におけるカテゴリ分けの設定のことを『Amazonブラウズノード』と呼ばれており、細かく分類されています。
自社の商品がどのカテゴリに最も適しているか、売れ筋ランキングなどで研究し、適切なカテゴリを選ぶことが大切です。
なお、このブラウズノードについては修正しても反映されない場合がありますので、カテゴリ選びを慎重に行うことが大切になります。
出品ポリシーや利用規約を満たしていない
Amazonでの出品には、ポリシーと規約を遵守する必要があります。
これらは、プラットフォーム上での公正な取引を保障するものであり、違反すると検索対象外や出品停止になるなど、厳しい制裁が課されることがあります。
ありがちな失敗に、商品画像が画像基準ポリシーを満たしていないというケースがあります。
商品画像は対象商品のみである必要があり、商品がはっきりと理解できるように商品の背景色や画像のサイズなど、詳細が決められています。
Amazonだけではなく、ほかのECモールも利用しているような場合には、商品画像をそのまま代用してしまうケースがありますが、十分注意が必要です。
レビューへの適切な対応ができていない
Amazonのカスタマーレビューは、購買意欲を刺激し、信頼を築く上で重要です。
ただし、レビューを増やすためには、正しい手法によって取り組む必要があります。適切な対応でなければ、信頼を失うだけでなく、Amazonの規約に抵触する可能性もあるからです。
レビューを増やすためには、レビューの依頼メールが有効です。しかし、禁止行為とされる方法での依頼は絶対に避けなければなりません。
例えば、高評価レビューを依頼することや、低評価レビューの削除依頼、景品やクーポンなどを用いたレビュー獲得行為などが禁止されています。
高評価のレビューを得るためには、商品やサービスの品質が大事です。
そのため、顧客からのレビューから学ぶ姿勢が重要で、高評価レビューからは訴求ポイントを、低評価レビューからは商品やサービスの見直し・改良ポイントを探ることができます。
適切なキーワードやSEO対策が不足している
Amazonでは多くの場合、具体的な商品名やカテゴリなど特定のキーワードで検索し、希望する商品を表示させます。
そのため、適切なキーワードとSEO対策が不足していると、検索結果に上位表示されず、売上げの機会を逸してしまうことがあります。
そのため、商品名や説明には、検索結果にヒットさせたい適切なキーワードを取り入れることが必要です。
適切なキーワードを組み込むことは、検索順位を上昇させ、顧客の購買行動に繋げるだけでなく、広告費用の抑制にも影響を与えます。
SEO対策によって上位表示に成功すれば、その商品には広告をかけずに、他の商品に予算を配分することが可能になるのです。
FBA・自己発送の選択ミス
FBA(フルフィルメント by Amazon)と自己発送のどちらを選択するかは、とても重要で、誤った選択によって、コストの増大や顧客サービスの品質低下を引き起こす可能性があります。
FBAとは、Amazonが商品の保管、発送、カスタマーサービスを代行するサービスで、うまく活用すれば手間を省き、効率化が図れます。
顧客がAmazonプライム会員であれば、送料無料サービスを受けることができ、さらには当日や翌日発送が可能になるなど、顧客満足に繋げることも可能です。
ただし、FBAの手数料(配送代行手数料)は商品区分により異なり、配送料、梱包、カスタマーサービス料などが含まれます。さらに、在庫保管手数料も必要となります。
自己発送は、売れた商品を自分で発送する方法で、ヤマト運輸や佐川急便、日本郵政などの配送業者を利用します。
例えば、小さい商品を扱っているような場合にはクリックポスト(日本郵便)が利用でき、自己発送の方が安くなるケースもあります。(※全国一律185円)
FBAと比較すると、Amazonに支払う手数料を抑えることができますので、自己発送の方が有利になる可能性もあります。
ただし、自己発送だと「Prime」マークが付かないため、商品によっては購入を敬遠される可能性があり、発送の手間も増えることになります。
そのようなことから、トータルで考え、自社のビジネスモデル、商品の性質、販売戦略などに合った方法を選ぶ必要があります。
Amazonスポンサー広告戦略の不足や予算のかけ過ぎ
Amazonスポンサー広告の戦略が不適切であると、商品の露出が低下、さらには利益率の低下を招く可能性があります。
『Amazonスポンサー広告』とは、特定のキーワードに基づいて商品を強調表示させるための広告サービスです。
メリットとして、
- 競合商品が多い場合でも、上位表示を図ることができる。
- 商品の露出を多くすることで、認知度と購買率を高める。
といった点があります。
その半面で注意点として、予算とキーワード戦略が不適切だと、予算をかけ過ぎてしまうリスクがあります。
前述していますが、SEO対策にも重視することがしっかりと取り組んでいることが重要で、広告だけに依存しない姿勢も必要です。
自然検索において上位表示できるのであれば、広告予算を抑制することが可能になり、利益率を高めることに繋がります。
問い合わせやクレームへの対応方法
Amazonでの商品販売の中で、購入前の問い合わせ、あるいは不良品などの問題に対してクレームが発生する場合があります。
これらの対応は、商品やサービスに対する信頼性や評価に直接関わる重要な部分になります。
事前の問い合わせに対して、迅速に対応することで信頼を築くことができ、さらには購入に繋げることができます。
クレームが発生した際には、まず冷静に状況を把握し、迅速かつ適切に対応することが大切です。
例えば、不良品によって、返品を希望された場合には、購入から30日以内であれば、返品対応が必要になります。
そのため、迅速な初期対応はとても重要になるのです。
ただし、FBAを利用している場合、配送・返品・交換・返金などのクレーム処理はAmazonカスタマーに誘導することで対処が可能となっています。
クレームは、商品やサービスの質の向上につながる貴重な情報源となります。クレーム内容を分析し、改善策を考え、組織全体で共有する姿勢が大切です。
出品プランの選択ミスでショッピングカートが活用できない
Amazonでの出品を始める際、『小口出品プラン』『大口出品プラン』の2種類の出品アカウントが存在します。
費用を抑えるために小口出品プランを選択する方は多いですが、大口出品プランを選択しない場合には、ショッピングカートの活用ができない点に注意が必要です。
『小口出品プラン』は、月額費用がなく、1商品販売ごとに100円の手数料と販売手数料が発生します。FBAの利用も可能となっているため、小規模な事業主による利用が多くなっています。
ただし、出品ツールや広告ツールの利用が制限され、出品できる商品も限られています。ショッピングカートも活用できないため、販売の機会の損失になるのは避けられません。
『大口出品プラン』は、月額4,900円と1商品あたりの販売手数料が発生するプランで、出品ツールや広告ツール、在庫管理レポートの取得など、すべての機能が活用できます。
特に、『ショッピングカート』が活用できるといった点は、Amazonで出品するためには欠かせない機能であるため、大きなメリットとなります。
そのようなことから、Amazonでの出品では、大口出品プランを選択すべきでしょう。
外部からの集客戦略が足りない
Amazonのプラットフォーム内だけでなく、自社が運営するSNSやブログなどを使って商品を宣伝し、Amazon外部から販売を促進する戦略を持っておく必要があります。
この部分が欠けていると、長期的な成長やブランド力の向上が妨げられる可能性があるからです。
自社が運営しているSNS(InstagramやYouTubeなど)やブログを活用して商品の紹介や使用方法の解説を行うことができます。
これによって商品に対する関心を高めることができ、Amazon内での販売を増加させることが期待できます。
さらに、これらのメディアを使って商品やブランドの背景ストーリーを伝えることで、消費者とのつながりを深め、ファンを増やすことができます。
ブランドの理念や商品の開発背景などを共有することで、ターゲット層との強い関係を築くことができるのです。
しかし、この外部からの集客戦略が欠如すると、競合との差別化が困難になり、ブランドの独自性を十分に発揮できなくなることがあります。
新規顧客の獲得も難しくなり、ビジネスの成長が停滞する危険性もあるのです。
まとめ
この記事では、Amazon出品におけるありがちな失敗とその具体的な対策に焦点を当て、詳しくお伝えしました。
ここで紹介した失敗例と対策を参考に、自身の出品戦略を見直し、必要な対策に取り組んでいただきたいと考えます。
特に、自身での対策が困難な場合は、Amazon出品のコンサルティングや出品代行の専門サービスを活用するのも一つの有効な手段です。
気軽に相談してみてはいかがでしょうか。